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今流行りのメンバーダウン(ボディアップ)とはなにか?専門店がおすすめしない理由(ワケ)

ラダーフレーム

エクストレイル専門店カーショップ・プレシャスの認証整備工場カスタムラボ所長の小野島です。

先日「過剰なリフトアップによって何が起こるのか」という記事を掲載しました。そのことについて、もう少し詳しくご説明したいと思います。

自動車のフレーム(骨格)には大きく分けて2種類の構造があることはご存知でしょうか?

まずひとつめは、自動車が生まれた当時から採用されている”ハシゴ”のような形をした、重く頑丈な「ラダーフレーム」

ふたつめは、現代の乗用車に多く採用されている、鉄板同士の組み合わせ方や形状で強度を出した、メインフレームのない「モノコックボディ」です。

ランクルやジムニーなど本格的なクロスカントリーSUVに採用されている「ラダーフレーム構造」は、フレームそのものに、エンジン・足回り・駆動装置などが備え付けられており、ボディ(人が乗る部分)をラジコンカーやプラモデルのように被せるしくみになっています。

ラダーフレーム

「ボディリフト」と呼ばれるリフトアップ方法は、このラダーフレームとボディの間に「リフトアップブロック」という金属の塊を入れてボディ全体を持ち上げる方法です。画像の赤い四角部分です。

足回り(リフトアップコイルなど)と、駆動装置の延長、そしてボディリフト(ブロック)を組み合わせる事で、地面から車体までのすき間(ロードクリアランス)を確保できるようになります。さらに大きな外径のタイヤを装着することができるようになり、高さのあるリフトアップが可能になります。

「ラダーフレーム構造(フレームの上にボディを乗せる構造)」であるからこそ、全体の強度が極端に落ちることが比較的少ないカスタム手法と言えます。

では、エクストレイルはどうでしょう?

デビュー当時のテレビCMでは悪路を走ったり、雪道でジャンプをしたり。ランクルなどでも行われなかったハードな走行シーンが印象に残っていますよね?

ということは、当然ランクルやジムニーや写真のアメ車の4WDのようなリフトアップできそうです。実際リフトアップされている車両も見たことがある!という方もいらっしゃるでしょう。

しかし、答えは、、、「できません」いや、「すべきでありません」

エクストレイルはフレームのお話の後者「モノコックボディ構造」のクルマだからです。

モノコックボディには重く頑丈なフレーム(骨格)は存在しません。

ボディ(人が乗る部分)全体に丸みを帯びさせることで鉄板の強度を上げ、内側の鉄板は接合したり、折り曲げたりすることで、重いフレームが無くても軽く強度のあるボディとなっています。

軽いボディは燃費向上にとって非常に重要です。ボディの底部(プラットフォーム※)を車体の大きさで分類した数種類に設定し、ドアやトランクなど他の部分だけを変えられるようにしたことから、生産性が飛躍的に向上しました。そして、軽く丸いボディは衝突時の衝撃を逃がすことができるので、衝突安全性も格段に向上しています。(※プラットフォームに関してはまた別途ご説明致します。)

前後にサブフレーム(メンバーとも呼ばれます)という部分的な土台が組まれ、足回りなどが取り付けられています。エンジンはボディ側にエンジンマウントという3ヵ所程度の土台で取り付けられています。

エクストレイルをラダーフレーム構造のクルマのように高くリフトアップしたい!という場合、行われるのがメンバーダウン(ボディアップ)という方法です。

メインのフレームが無いエクストレイルからメンバーだけを外し、ボディとメンバーとの間に金属のスペーサーを入れます。そしてボルトで締め直す。

エンジンと駆動系が離れ離れになってしまうので、ボディとエンジンマウントの間にもスペーサーを入れます。

ボディ自体の高さ(全高)はスペーサーを入れた分だけ高くなります。しかし、メンバーもエンジンも駆動系も取り残されるので地面からは離れていない。メンバーやエンジンは下がったように見えて、人が乗る部分だけが上に上がるのでメンバーダウン(ボディアップ)と呼ぶのです。

そもそも分離する想定では作られていないボディとメンバーの間に、強制的にスペーサーを入れて分離しますので強度は落ちます。

面で繋がっていた部分を点で取り付ける。と、どうなるか?

ブレーキをかけるとタイヤは止まろうとしますが、離れたボディは前に進もうとする。中学で習った「慣性の法則」です。普段通りに安全に停止するためには早いブレーキが必要です。もちろん車体へのおおきな負荷がかかります。

前の記事にも書きましたが、軽自動車くらいならまだ危険性は少ないかも知れません。

ボディも軽いので軋みは少ない可能性はありますが、制動距離は確実に伸びると思います。

エクストレイルもメンバーダウン後、すぐには強度の低下や慣性の法則も感じにくいようです。

実際、メンバーダウンを他社で施工したお客様から、よくご相談をいただきます。

施工後すぐは起きていなかった「ギシギシ」という軋み音が、1年経たずに酷くなってしまった、とにかくブレーキタイミングが遅れるので、他の人には絶対に運転させられない。とおっしゃっています。

メンバーダウンとはある意味真逆のパーツもあります。

工場から出荷された状態のボディとメンバーの接合部分、ボルトと穴のほんの僅かなスキマでさえも埋め密着度を補正するパーツです。

レース系メーカーから販売されていて、走行フィーリングを高める効果があるそうです。

当店に来店してくださったエクストレイルオーナー様が、詳しく記事にされています。

クルマの製造工程では、別々の工場で組み上げられたボディとシャーシ(サスペンションなどを構成する部分)と足回り(サブフレーム)を組み立てるとき、それぞれはボルト数本で止められているだけです、実は。 シャーシとサブフレームがきちんと接合され、ずれなくなって、サスペンションが本来の正しい動きをすることによる効果だと思います。-記事より抜粋

エクストレイルマニア

https://x-trail.work/rigidcollar/

カスタム・チューニングというものは、全て自己責任です。

しかし、それを薦めたり、手掛けるショップにも責任の一端はあると考えます。ですから当社は、安全を損ない クルマそのものを痛めるような事はできないのです。

事故を引き起こし、色々な人の人生を棒に振ってから気付くのでは遅いのです。

プレシャスはカスタムショップでもあり、カーショップでもあります。

一生エクストレイルに乗り続けられたら素敵ですが、ほとんどの方が乗り替えます。あなたのエクストレイルは、次のオーナーさんに受け継がれるのです。次のオーナーさんにも「カッコよくて、良いクルマを手に入れられて嬉しい」と言われたいじゃないですか。

「たった3cm」と笑われたこともありますが、今日も3cmアップさせるために多くのお客様がお問い合わせを下さり、作業のご依頼を頂いています。取り付け後は、みなさん満足した顔でプレシャスを後にされます。10年前からこのシーンを見てきましたし、これからもたくさん見ていきたいと思っています。

最後にもう一度!

「過剰なリフトアップはダメ!絶対!」です。10年以上前から、あれこれやりつくしたからこそ、言えることです。

次回は、歴代エクストレイルのココが素晴らしい!ココは残念だけど、こうすればいい!などエクストレイル専門店ならではの「エクストレイル論」を独断と偏見でお送りする予定です。おたのしみに。

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